ホテルで一人 

受験パックでホテルに一泊
フロントでキー受け取って
「モーニングコールは何時にしますか」
明日の日程頭に過ぎらせ
「朝六時くらいに」

個室にいるとなんだか静か
誰もいないからあたりまえ
だけど異様に物寂しく
慌ててテレビをつけて
そのまま座椅子にもたれかかった

一度離れてみなければ
その良さはきっと解らない
自分の家族も彼女もきっと
そんなものなんだと思う
3だと小さい4だと大きい
微妙なテレビの音量が
微妙な自分の様だった

親からもらった一万円
「ホテルの料理は高いから
温かいものでも頼みなさい
遠慮はしなくていいからね」
そういわれてはみたけれど
メニューをみれば
どれもこれも千円越えて
仕方がないから一番安い
五目粥を食べてみた
それでも千円Just
学校帰りのバーミヤンなら
これにプラスでドリンクバーと
スープとデザート付くのにね
出てきたお粥はオトナ向け
独自の社会を作ってしまった
若い狂った舌々には
無味にしか感じない
バーミヤンの方がマシかも
そう思いながら半分も
食べずに渋々千円出した

家の風呂には順番が有って
早く入らないと後ろが支えるから
いつも急かされ入るのに
今日みたくいつ入ってもいいとなると
いつ入っていいのか分からない
いや、分かるんだけど・・・

やりたいことも思いつかず
やらなきゃイケないことはやれず
友達にメールを打って
寂しさを紛らわした
こんな時にいつも思う
やっぱ一人じゃ生きられない
早く家に帰りたい
外出中に思った
初めてのホームシック
十八歳最後の子ども